弊会が主催するWGの活動をご紹介します。

樹脂サッシ工業会のリサイクルへの取り組みについて

弊会は、1999年より「塩ビサッシリサイクルWG」として、リサイクルに関する取り組みを開始しました。樹脂サッシの普及が早かった北海道での活動を中心に、現在まで継続的に取り組んております。

樹脂サッシのリサイクルには、製造過程で排出される工場廃材と、建物の解体・改修の際に排出される使用済み廃材の、2種類に分けられます。

工場廃材につきましては、メーカー各社の取り組みが進んできております。一方で使用済み廃材については、リサイクルが進んでおりません。

要因はいくつか挙げられます。

  • 住宅が寿命を迎え解体されるまでには長い時間がかかるため、現時点では樹脂サッシが使われた建物の解体が多くないこと。
  • 建物に使用された材料から製品を製造するための材料を取り出すにあたり、解体現場から樹脂サッシをきれいに取り外す必要があるが、その労力がかかること。
  • また回収した樹脂サッシから、PVCを取り出すための選別工程において、PVC以外のさまざまな材料を取り除くための技術やコストの問題。

リサイクルの実現へ向けては多くの課題を抱えておりますが、素材としてのPVCの再利用は可能であることを確認しており、廃棄樹脂サッシのリサイクル実現へ向けて取り組んでおります。

これまでの検討を元に現時点で可能な限りの取り組みを行っているので、ここではそのご紹介をします

再生実験事例紹介

収集した材料は、何らかの形で再利用する必要があります。

海外への輸出による再利用はこれまでも行われており、その方法で十分であるとの意見も受けておりました。しかし世界的な環境意識の高まりにより、その条件は年々厳しくなってきております。

樹脂サッシ工業会では、輸出に頼らなくても対応できるリサイクルを目標として、国内での需要創造を目指すべく、会員各社による実際の製品化へ向けた取り組みを行っています。

外窓:㈱エクセルシャノン(開き窓障子)

意匠的に影響が出ないよう、外観部には新品の樹脂を使い、内側にリサイクル材を使用した「押出し二重成形」と言われる手法により、リサイクル材料を樹脂サッシに再利用する取り組みです。

内窓:大信工業㈱(引違い枠)

外窓同様に外観部には新品の樹脂、内側にリサイクル材を使用した「押出し二重成形」により、リサイクル材料を内窓に再利用する取り組みです。

コンパウンド:リケンテクノス㈱ (押出試験: ㈱協栄樹脂製作所)

会員各社は、リサイクル材料の特性を理解した上で取り組んでおりますが、リサイクル材を使ってみたいとお考えのメーカー様にとっては、場合によっては扱いずらいのではないかと考えております。そこで幅広くリサイクル材料を活用してもらうため、製造現場で馴染みのあるコンパウンド化をすべく、取り組んでおります。またその材料を使用した、サッシ以外の製品の製造にも取り組んでおります。

実証実験について

ヨーロッパにおいては、工場廃材・使用済み廃材に関わらず、樹脂サッシリサイクルの取り組みがドイツを中心として行われており、リサイクル材料を一部に使用した樹脂サッシが実際に流通しています。

弊会では「サッシ to サッシ」のリサイクルにおいて、樹脂の品質上、長期利用に伴う劣化に関する問題はないと考えています。しかしこれまでに国内メーカー製品では、実際の廃棄樹脂サッシを原料とした製品は、製造・販売された実績がありません。

そこで国内メーカー品でも欧州同様に問題がないことを実証すべく、実際の建物(北海道札幌市、事務所)に、2017年11月22日に8か所取り付け(開き窓部分の交換により設置)、実験を開始しました。

この窓は現在も使用中であり、ここまで使用上の問題は確認されておりません。

今後も経過を観察していく予定です。

樹脂サッシの解体マニュアル公開について

これまで我々は、廃棄樹脂サッシのリサイクルについて意見を伺うべく、関係する色々な業者様にお話をお聞きしてきました。その中で解体を実際にされる業者様から、「実際に協力するときに、どう樹脂サッシを外したらよいか分からない。」「どのような形まで分解すれば受け入れてくれるのか分からない。」と言ったご意見を伺ってきました。

そこで今回、そのご意見にお応えすべく、「再資源化を志向した樹脂サッシ窓の解体マニュアル」を作成いたしました。
こちらを公開いたしますので、これから樹脂サッシのリサイクルを取り組んでいただける業者様におかれましては、ぜひご参考にしていただけると幸いです。(今回公開するのは、簡易版となります。)

また廃棄樹脂サッシが、比較的発生の予想される北海道地域につきまして、同マニュアルに基づいた受け入れをされる業者様をご紹介いたします。

  • 廃棄樹脂サッシの排出が予想される地域において、継続的なご対応が可能と判断しました業者様をご紹介しております。
  • 廃棄樹脂サッシの処分につきましては、法律に基づいたご対応をお願いします。
  • 取引条件につきましては、弊会は関与しておりませんので、業者様へ直接お問い合わせください。

収集実績について

再生実験をする材料は、弊会で各業者様にお願いをして集めた材料を使用しております。

僅かではありますが、廃棄樹脂サッシのリサイクルへ向けた取り組みを進めております。